01
建物の柱・梁をつくりだす緻密な仕事。
人の命を預かる主要構造物だけに、
細心の注意を払った作業が大事
大角 浩一
KOHICHI OHSUMIもともと父が働いていたこともあり、高校卒業後、鈴王へ就職。親子2代でお世話になっています。しかし、入社にあたっては、全く建築の知識がない状態。最初は慣れない環境や作業に心配もありましたが、1・2年である程度の知識を得ました。現在は高層マンションの柱・梁の製作を担当しています。
毎日の作業では、鉄筋を型枠にセットし、付属部品を取り付け、生コンクリートを流し込み製品を造っています。同じ作業の繰り返しのようですが、少しずつ形状や鉄筋の位置が違ったりするので緻密な作業が求められます。また、図面を読み解くスキルも必須です。また、生コンを流し込む作業は、気温などに左右されやすい特性があります。乾き具合の判断などでは、やはり職人の経験が求められ、微妙な調整を日々行っています。
仕事は、毎日緊張感がありますが、逆に会社の雰囲気はやさしく、明るい感じです。今はミャンマーから多くの技能実習生が来てくれています。彼らがとても素直に、いろんな仕事に取り組んでくれているのも会社全体にいい影響を与えていると思います。
文化の違いを感じることもありますが、仕事に向かう気持ちは国が違っても同じだと実感しています。日本にいながら、さながら国際交流しているようで、時々は寮に遊びに行ったりもしています。もちろんベテランの先輩たちも、いろいろなことを教えてくれます。なかでも社長は、自分たちが知らないような生コンの技術、構造など知識も豊富で、職人としてとても尊敬しています。18年ほど働いてそろそろ一人前になってきたので、今度は自分も積極的に仕事を教えられるような立場になりたいですね。やりがいは自分たちが苦労して作ったコンクリート製品が使用された建物が完成しそれを見ることですね。この街にもっと素敵な建物や場所をつくるためにも、ずっと長く働きたいし、ますます技術をステップアップさせていきたいと思っています。
02
日々の工程がスムーズに捗るように
前段取りと工程管理を徹底。
クレーン運転操作は重量物も担当。
西森 愛
AI NISHIMORI高校卒業後18歳で入社してから、もう15年以上この仕事一筋です。もともと兄がいて工場勤務だったので、高校で進路を選ぶときに、私もこの道を選ぶことにしました。しかし今でこそ工場勤務は女性にも人気ですが、その当時はそれほどメジャーな道ではなかったと思います。工場のなかでも機械を使う仕事をやってみたいという希望にあわせて、紹介されたのが鈴王でした。
工場には、どうしても肉体労働のイメージがあると思います。もちろん鈴王も半野外の建屋内での作業なので、夏の暑さや冬の寒さは当たり前です。でも会社の体制はきちんとしているし、時間内で無理な仕事もない。入ってみると働きやすい環境なのが、続けてこれた理由です。
実は入社してからクレーン作業の免許を取りました。最初は3日間の講習で取得できる「床上操作式クレーン技能」からはじまり、更に荷重制限なくほとんどのクレーンを操作できる「クレーン運転士」の国家資格も取得しました。資格試験合格のための勉強は、まあまあハードでしたが、無事に合格出来ました。免許を取得したことで、個人の仕事幅も広がったと思いますし、会社にも貢献できているのが嬉しいですね。今では10tを超える製品や製作機械を、天井クレーンで移動する仕事もこなしています。
日常の仕事は、作業がうまく進むように、前段取りと工程管理をすることが主です。こうした事務的な作業も多いので、体力に不安のある女性にも働きやすい環境だと思います。また工程管理は日々の問題点も出てきます。不具合が起こらないようにチームみんなで改善していけるのもこの会社の面白いところ。私自身もいま、チームリーダーを任されているので、メンバーの働きやすい環境づくりに努力していきたいです。
03
給料だけでなく、
技術もしっかり貯めて
いつかミャンマーで
二人の会社を立ち上げたい
KYAW ZIN NAING(写真/右)
チョー ジン ナインTUN LIN SOE(写真/左)
トン リン ソートン:日本に来る前にも、他の国で5年ほど技術関係の現場で働いていました。そのときからチョーさんとはずっと一緒。もはや家族のような関係です。
チョー:その後、治安的にも安心出来て、より高い技術が学べるので、日本の技能実習に参加することにしました。私が5年前にやってきて、その1年後にトンさんが来日。仕事はもちろん責任ある厳しい内容ですが、日本の人たち、会社のみなさんたちがとてもやさしいので楽しい毎日が過ごせています。
トン:日本語は、来日前に半年程度、勉強しただけ。ここへ来るまでは、コミュニケーションに自信がもてませんでしたが、鈴王で働きだしてからは、みんなが積極的にコミュニケーションをとって、技術だけでなく言葉も教えてくれるんです。とても助かっています。
チョー:最初は鉄道まくらぎ制作の仕事を担当していましたが、今はいろんな技術の経験を積んで、柱梁の現場を担当させてもらっています。外国人実習生だからといってハードな仕事に振り分けられるわけではなく、スキルにあわせた仕事を任せてもらえるのは、正直やりがいにつながっています。日本ならではの高い技術を学べるのは、私たちの未来に、とても価値ある経験になると思っています。
トン:今は30名程度のミャンマーからの技能実習生が鈴王で働いています。会社から準備いただいたマンションに、みんなで住んでいるので快適です。
チョー:マンションは、wi-fi環境も充実させてもらっています。おかげでミャンマーの家族と毎晩30分ぐらい話もできますね。前に他の国で働いていたとき、国際電話が高すぎて1ヶ月に一度、数分程度のコミュニケーションしかとれなかった。それを考えると、歴然の差。寂しさを感じることはありませんね。
トン:休みの日は、みんなで芦屋の方まで魚釣りに行ったり、ミャンマー伝統の遊び“けまり”を楽しんでいたりします。
チョー:南国から来ているので「寒さが堪えるのでは?」と聞かれることもあるんですが、雪を見たことなかったので、逆にその美しい景色が見られて喜んでいます。
トン:社長は、国のお父さんのような存在です。仕事の面でいろいろ面倒を見てくださるだけでなく、食事の心配をしてくださったり、出かけるときに送り迎えしてくださったり‥‥。
チョー:いつか国に戻ったときには、トンさんと会社をつくろうと話しています。ここで学んだ技術をベースに、自分たちの国で何か事業を始めたいと思っています。そして、鈴木社長のように、人を育てるような社長になること。それが、きっとここでお世話になっている事への恩返しになると思っています。